引退した研究ツール

retierd facilities

分析機器(引退)

拡散導入型水素安定同位体質量分析システム 

安定同位体用気体質量分析計 VG SIRA10(某社廃棄品)
日下部型Cr還元炉(日下部実先生作)


H2OのD/H比定量専用の拡散導入型質量分析システム。本体年齢は20才を超え、鳥取県三朝市から北海道札幌市に移動するなど2度も主を代えたが、それでもD/H比を0.3パーミル以下の高精度で定量する優れものだった。しかし、2011年に電子制御系に致命的なトラブルを発症して休止状態に陥った。ほどなくキャビティリングダウン分光による水同位体比アナライザー(Picarro L-2120-i)の導入が決まり、あえなく分解廃棄された。


 

全自動溶存メタン濃度定量システムAMEXs

2004年に西部北太平洋亜寒帯域で実施された鉄散布実験航海SEEDS-II(白鳳丸KH-04-3次研究航海)に参加するにあたって、船上における海水試料中の温室効果気体の迅速定量を目的に、当時の院生(川口慎介、亀山宗彦など)の協力を仰ぎながら、角皆が正月返上で設計・製作した。完成当時は、FID(水素炎イオン化検出器)とPDD(パルス放電型光イオン化検出器)の両方を備えたキャピラリーガスクロマトグラフを後段に接続し、バイアル瓶中に封入された海水試料中のメタンと一酸化二窒素の濃度を、1試料40分程度で全自動分析する予定であった。試料の導入やガス抽出、さらに測定済み試料の廃棄はもちろん、純水を用いたライン内部の洗浄まで、すべて全自動で行う逸品だったが、残念ながら角皆不在の白鳳丸船上では思ったように機能せず、目的を失った帰還後は部品取りに使われるなどして廃棄状態となった。

しかし2006年10月末に実施された淡青丸KT06-26次航海で、500本を超えるメタン濃度測定用海水試料を採取してしまったことから、再度需要が高まった。そこで、当時の院生(三枝俊介)の協力を仰ぎながら、後段のガスクロマトグラフを写真のようなFID付きパックドカラムの物に変更し、また内部構造も大幅に刷新することで、ようやくメタン濃度が自動定量出来るようになった。しかし当時既に、同位体比測定用質量分析計付属の抽出システム(手動)を使えば濃度と同時に同位体比が測定出来たので、KT06-26次航海試料の測定終了後は再度廃棄状態に陥った。そこで2009年に、当時の院生(廣田明成)の協力を仰ぎながら、本体(全自動抽出&濃縮)部分を同位体比測定用質量分析計の前処理装置に転用し、「全自動溶存メタン濃度定量システムAMEXs」としては役目を終了した。現在は2代目となる同位体比測定用質量分析計(ハンダマス)と接続され、メタンと一酸化二窒素、さらにエタンの濃度および同位体比の同時自動定量に大活躍している。またAMEXsの名称もそのまま残り、ハンダマスを含めた測定システム全体が「AMEXs」と呼ばれている。

 

イオンクロマトグラフYokokawa IC500(某大廃棄品)

水試料中の塩化物イオンや硫酸イオンなどの陰イオンを定量するイオンクロマトグラフ。某大で阪神大震災発生直前の地下水試料(六甲の○いしい水)中の塩化物イオンの組成変化を高精度定量したが、その活躍があだとなって後継機が導入されてしまい、1997年に一度引退した。しかし倉庫で産廃業者の引き取り待ちだった所を角皆に救出されて、2000年から北大で復活。断続的に2010年頃まで活躍したが、最後はトラブルのデパート状態だった上にメーカーも撤退し、ついに引退させざるをえなくなった。



 

元素分析装置Perkin Elmer 2400CHN(某研究室廃棄品)

有機体窒素を窒素ガス化する質量分析計の前処理装置として使用するために、廃棄を検討していた某研究室から格安で譲り受けた。しかし、馴染みのあった同業他社製品とは違って、内部構造が意味不明に複雑だった上にブランク値が高く、前処理装置化は苦戦した。そうこうするうちに、一酸化二窒素化による有機体窒素の高感度同位体比測定がうまく機能するようになっため、特にデータを出すことも無く、その運命を終えた。

 


 

UV検出器高速液体クロマトグラフ Hitachi L-7000

海水試料中の硝酸イオン濃度および亜硝酸イオン濃度定量用のHPLCシステム。元は東大海洋研でI先生がアミノ酸分析に使用していたHPLCシステムであったが、オートアナライザー購入の目処が立たない2008年頃の研究室事情を背景として、諸論文を参考に海水中の窒素栄養塩定量用に転用された。しかし、海水試料を直接導入するシステムは安定性や再現性が悪く、担当学生は苦労の連続となった。2017年に念願のオートアナライザー(Quattro 39)が導入されたことから、御役御免となった。

 


 

高感度水素・一酸化炭素定量システム CANDY

海水中の水素(H2)および一酸化炭素(CO)の船上迅速定量を目的に、自作の前処理ラインを市販の微量還元ガス検出器(TRD)に接続した。2005年から2008年頃にかけて、主に水素濃度定量に活躍したが、キャリヤーガス用の大型ボンベの積み込みが必須となることや、日本周辺の熱水域では、プルーム中の濃度異常がほとんど検出されない等の事情から、次第に敬遠されるようになった。Delta Vが導入され、水素は濃度と同時に同位体比が高感度で測定出来るようになったことから、御役御免となった。

 


 

半透膜導入赤外分光型溶存メタン定量分析システム

 

 


 

観測機器(引退)

■室内バイオマス
燃焼実験装置(特注)

分析ライン(引退)

■炭化水素濃縮導入ライン
/キラーク/小松
■真空引きライン
/デビット/中川

■恒温大気中炭化水素濃縮導入ライン/山口ライン/小松・山口

■クーロメータ用溶存CO2抽出ライン/蒲生

 

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FID検出器パックドカラムガスクロマトグラフ Shimadzu GC-14A (某研究所廃棄品)

紫外・可視分光光度計 Shimadzu UV-1200

クーロメーター UIC Model100

イオンクロマトグラフ Shimadzu PIA-1000

非分散赤外分光二酸化炭素計  LI-COR LI-7000